2014年09月27日

イルミネーションとは...

DSCF2364.JPG中世の宝石「イルミネーション−Illumination」

世界で初めて本が登場したのは、はるか3‒4世紀に遡ります。Illuminated Manuscript (装飾写本・彩色写本)と呼ばれ、修道士らによってすべて手作業で作られました。中世ヨーロッパの教会で使われた祈祷書や賛美歌の譜本などは、紙の代わりに牛や羊の皮を紙の様に加工したヴェラム(またはパーチメント)に、鮮やかな色彩と金・銀箔の装飾が施された挿入画や頭文字が描かれました。
この装飾こそ、イルミネーションと呼ばれる技法です。‘Illumination’は、‘輝かせる’‘照らす’という意味のラテン語‘illuminare’から派生したもので、ラピスラズリの青をはじめ鮮やかな顔料や金銀は、教会の燭台の下、自らが光を放っているように輝いたことでしょう。この贅沢な手稿本は、当時の王侯貴族の憧れとなり、富の象徴として人々は競って制作を依頼しました。数百年という年月を経た現在でも、アイルランドの‘The Book of Kells’に代表されるような美しい彩色手稿本は、今なお黄金の輝きを湛えつつ、欧州各地の教会や博物館で数多く見ることができます。しかし15世紀、印刷技術の発達によって本の大量生産が可能になり、手稿本の衰退とともにイルミネーション技法は、しだいに忘れられてゆきました。現在、この装飾技術が学べる学校や大学は欧州でも非常に少なく、イルミネーターの数も多くはありません。今から15年前の大英図書館で、息がとまるほどに美しい装飾写本に心を奪われた私は、その技法が学べる美術学校の門を叩きました。在英した12年間、才能溢れる恩師達や同僚と学び、英国・欧州各地でオリジナルに触れながら中世を旅した日々...今思えば宝物のような体験を糧に、こうして日本で、イルミネーションの作品を紹介できることは、最高の幸せと感じます。稀少になりながらも大切に受け継がれてきた中世の技法を可能なかぎりそのままに、材料は、最高の品質とされる子牛の皮のヴェラム、装飾の主役であるゴールドには、おもにイタリア産純金箔を使用しています。
みなさまに、中世ヨーロッパの香りを届けることができれば、これほど嬉しいことはありません。
イルミネーター・保存修復士 Rika Matsushima イルミネーションURL http://www.rm-illumination.com                                                       
posted by Medieval lover at 19:31| Comment(0) | はじめに... | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。